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短編小説「百日の写真」(5)
 チュチェ113(2024)年 出版

 「まあ、おもちゃが一杯入っている。全部木を彫って作ったものだわ」
 「このピストルはシナノキで作ったものだな。軍艦もあるし、飛行機もある。これは何だ。ああ、チョウセントネリコで作った駒じゃないか」
 チョンス爺さんはダンボール箱から品物を一つずつ取り出して、説明をした。
 「いろんなものが入っているな。見ろ。毛糸で編んだ帽子、靴下。チュンソンのお父さんが編んだものでないことは確かだ。建設チームの娘たちの贈り物だろう」
 「帽子の中に葉書があるわ。チュンソンのお父さんからよ」
 「チュンソンの百日おめでとう。これは建設チームの人たちが休息の時間を削って作った百日祝いの記念品です。友達がみな待っていますから、百日の写真を一枚送ってほしい」
 手紙を読むソンオクの目は潤んでいた。
 夫よりも息子のために捧げられた建設チームの人たちの思いがもっとありがたく、大切に思われて手紙を何度も読み返した。 
 おもちゃを一つ一つ見つめるチャ・ヨンスクも感心してうなずいた。
 チャ・ヨンスクがチョンス爺さんの手から手編みの帽子を受け取って見ると雪のように真っ白い編地に赤い糸で「ペクトゥ山」という字を縫い取ったものだった。
 「そんなに遠いペクトゥ山から百日のお祝いまで届いたんだから、私たちもなにか包んで送らなくちゃ。さしずめ、チュンソンの写真を立派に撮って送りましょうね」
 「そうしましょう。ポムミのお父さん、本当にありがとうございます。早く部屋に入りましょう」
 ソンオクに引かれるまま、部屋に入ろうとしたチョンス爺さんは、なにか思いついたらしく、歩みを止めて聞いた。
 「カメラマンは招いたのかね」
 「はい、友達が今日、カメラを持って来ることになっています」
 「アマチュアに撮らせるつもりなの?それは駄目よ。私は絶対反対だからね。
さっきの手紙読んだでしょう。建設チームの人たちがチュンソンの百日の写真を待っていると書いてあったじゃない。うちのアルバムに貼るものでなく、建設チームの寝室に堂々と貼り付けられるように大きく撮らなくちゃ」